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  • 2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う

  • 2020/12/28 18:00 公開  編集部
  •  新聞・雑誌・ニュースサイトなど6,000媒体以上を対象に調査・分析を行っている株式会社内外切抜通信社(所在地:東京都新宿区、代表取締役社長:近藤義昭、https://www.naigaipc.co.jp/)は、2020年1月1日から12月15日にかけてYahoo!ニュースに掲載された記事のうち「鬼滅の刃」を本文中に含むものを集計し、露出の傾向を分析いたしました。

     「鬼滅の刃」は2016年2月から『週刊少年ジャンプ』で連載が始まった、吾峠呼世晴さんによる漫画作品です。2019年にアニメ化されるなどメディアミックスが進み、人気を集めてきました。2020年5月には漫画連載が完結したものの、同年10月に映画「無限列車編」が公開されると12月に興行収入が300億円を突破。12月28日には「千と千尋の神隠し」を超えて歴代1位になったことが発表されました。また、2020年末には「新語・流行語大賞」や「Yahoo!検索大賞」、「Google急上昇ランキング」や「日経トレンディヒット商品ベスト30」、「ネット流行語大賞」など多数の賞にノミネートされ、「メディア展望」に掲載された「通信社が選んだ2020年10大ニュース」では共同通信社、時事通信社のトップ10に選出。一躍、今年のヒットコンテンツとなりました。

     当社では、「鬼滅の刃」の社会現象化をYahoo!ニュースに掲載された記事から分析。記事の数や報じたニュースサイトのジャンル、見出しに含まれる単語などを手がかりにブームの背景を考察しました。

     2020年1月から9月の「鬼滅の刃」を含む記事の1日あたり平均露出数は13.8記事と、今年はじめからすでに一定程度の話題を集めていたものの、劇場版「鬼滅の刃 無限列車編」が公開された10月以降には5倍となる70.1記事に増加。Yahoo!ニュースに記事を配信している提供元メディアのジャンルや種類が大幅に増えました。「鬼滅の刃」が映画化をきっかけにカテゴリーを超えた報道が増え、メジャーなコンテンツに成長したことが伺えました。

    【調査手法】2020年1月1日から12月15日の間、当社独自のシステムを利用してYahoo!ニュースをモニタリングし、本文中に「鬼滅の刃」という文字列を含む記事を収集しました。収集した記事の見出し・掲載日・提供元メディアなどのデータも取得し、同社独自の分類方法により分析を行いました。
    ※データは調査時点(2020年12月16日)のものになります。


    ■2020年、「鬼滅の刃」がYahoo!ニュースで報じられなかった日はたったの1日!

     2020年1月1日から12月15日までのYahoo!ニュースにおける「鬼滅の刃」を本文中に含む記事の総数は「9,104件」でした。期間の中で、記事掲載のない日は「5月14日」のみでした。1日あたりの記事数は平均26件。最多だった日は、全国5紙にコミックス最終巻の全面広告を掲載した12月4日の188件で、ファンが新聞を集めるために奔走した様子などが多く報じられました。月別の記事数を見ると、1月から9月は小さな増減を繰り返して平均419件。10月はその4倍以上となる1,745件が掲載されました。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【グラフ-1】日付別記事数:さまざまなトピックに連動して記事数が増減しながら、10月以降爆発的に露出が増えています。


    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【グラフ-2】月別記事数・月ごとの1日あたり平均記事数:上半期はコミックス完結の5月に小さなピークがありますが、下半期は増加の一途をたどっています。


    ■記事の提供元メディア数はおよそ60から240と4倍に拡大、劇場版公開の10月頃からアニメ・マンガ系以外のメディアが目立つ結果に

     「鬼滅の刃」を本文中に含む記事の提供元の数を調査したところ、2020年1月には約60のメディアが「鬼滅の刃」を取り上げていました。10月になると提供元メディア数は約240とおよそ4倍に増加。多くのメディアで言及が広がるようになりました。Yahoo!ニュースに記事を配信しているメディアは637媒体(Yahoo!ニュース「ニュース提供社」ページより、2020年12月26日現在)あり、実に半数近くの媒体が「鬼滅の刃」を一度は取り上げたことになります。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【グラフ-3】提供元メディア数の月ごとの推移:10月に大きく伸びたことがわかります。

     同時に、当社が独自に設定しているメディアのジャンル別に、記事数が最も少なかった1月と最も多かった11月で、掲載数を比較しました。すると、「スポーツ(総合)」や「経済・ビジネス」、「ニュース」、「一般総合」といったジャンルのメディアで、増加比が20倍以上となりました。一方で、「アニメ・マンガ」、「音楽」、「映画・TV」関連メディアは1月の時点からの伸びは5倍未満となり、映画化とともに、より幅広い人が読むメディアで「鬼滅の刃」が取り上げられる機会が増えたことが伺えました。また、1月には掲載ゼロだった「料理・グルメ・食品」は、11月には30件に。これはコラボ商品が多く売り出されるようになったことが要因と思われます。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【表-1】提供元メディアのジャンル別掲載数:より読者層の幅が広いメディアで取り上げられる機会が増えたことがわかります。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【表-2】ニュースサイト運営元企業の業種別掲載数:新聞社やテレビ局といったマスメディアが大きく伸びています。

     記事掲載数が多かった提供元メディアの月ごとの記事数を分析したところ、ピークが10月になるメディアと11月になるメディアとに分かれました。エンタメ・アニメ系のニュースサイトは映画の話題をリアルタイムで伝え、スポーツ紙などの一般向けニュースサイトは映画がヒットしてから後追いで記事を出すことが多かったからだと推測されます。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【グラフ-4】記事掲載数が多かった提供元メディアの月ごとの記事数:MANTANWEBやORICON NEWSなどエンタメ系のサイトでは記事数のピークが10月に来ていることがわかります。

     掲載数が多かったメディアを調べると、1位はエンタメ系ニュースサイトのMANTANWEBとなりました。ORICON NEWS、アニメ!アニメ!とエンタメ系のメディアが続きます。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【表-3】提供メディア別掲載数


    ■キャラクター別掲載記事数、トップはやはり「炭治郎」。煉獄さんの露出は10月以降大幅増

     主人公の竈門炭治郎と妹の竈門禰豆子、そして柱の9人を加えた11人の人気キャラクターの名前が含まれる記事数を集計したところ、トップは主人公の竈門炭治郎(2,512件)でした。2位には映画の主要人物である「煉獄さん」こと煉獄杏寿郎、3位は炭治郎の妹である竈門禰豆子が続きました。

     また、煉獄杏寿郎の掲載数は、9月までは1ヶ月の平均が34件だったところ、10月には348件に激増。映画化の影響が感じられる結果となりました。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【グラフ-5】キャラクター別記事数と「煉獄杏寿郎」を本文に含む記事数


    ■「鬼滅」を見出しに含む記事の割合は、1月「半分未満」から10月「9割近く」に

     「鬼滅の刃」を本文に含む記事のうち、見出しに「鬼滅」を含む記事の割合を月ごとに算出したところ、2020年1月には50%未満だったのが、10月にはおよそ40ポイント増えて90%近くとなりました。人気上昇とともに、「鬼滅の刃」を記事のメインコンテンツとして扱ったり、記事を読ませるフックとして「鬼滅の刃」を利用したりするケースが増えたと考えられます。

    2020年ネットニュースから見る「鬼滅の刃」 映画化以降ジャンルを越えた報道が急増、社会現象化の一端を担う
    【グラフ-6】「鬼滅」を見出しに含む記事の割合:1月から2月にかけて大きく増え、その後じわじわと伸びています。

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